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給与差押えで債権回収はどこまでできる?手続きの流れと注意点
支払いを約束した相手が応じないまま時間だけが過ぎると、回収をあきらめたくなるかもしれません。
そうした場面で有効な手段のひとつが、相手の給与を差し押さえる方法です。
ここでは、給与差押えによる債権回収の仕組みと、申立ての前に確認しておきたい点を紹介します。
給与差押えによる債権回収の仕組み
給与差押えは、債務者本人ではなく勤務先を相手に手続きを進める点に特徴があります。
まずは、基本的な流れと、申立ての前提となる書類を確認しておきましょう。
勤務先から直接回収する手続き
給与差押えは、債務者が勤務先から受け取る給与債権を差し押さえ、勤務先から直接支払いを受ける手続きです。
裁判所は、債権者の申立てに基づいて債権差押命令を発令し、勤務先と債務者へ送達します。
手続きを進めるにあたって、債務者本人の同意は必要ありません。
命令を受け取った勤務先は、差押えの対象部分を債務者へ支払えなくなり、それを債権者に支払う義務を負います。
申立てに必要な債務名義
給与差押えの申立てをするには、請求権の存在を公的に証明する債務名義が欠かせません。
債務名義として使われるものには、次のものが挙げられます。
- 確定判決や仮執行宣言付判決
- 裁判上の和解調書や調停調書
- 強制執行認諾文言のついた公正証書
借用書や請求書だけでは強制執行を申し立てられないため、その場合には先に債務名義を取得するための手続きが必要となります。
すでに債務名義があっても、原則として執行文の付与と送達証明書の取得が別途必要です。
給与差押えを選ぶメリット
数ある強制執行のなかでも、給与差押えは回収の見込みが立てやすい方法といえるでしょう。
将来の給与にも効力が及ぶ
給与のように毎月継続して支払われる債権を差し押さえた場合、差押えの効力は将来支払われる分にも及びます。
そのため、債権全額の回収が終わるまで、毎月の給与から少しずつ回収を続けられるのが特徴です。
1度の申立てで継続的な回収につながる点は、単発で終わる預金差押えにはない強みといえるでしょう。
空振りに終わりにくい
預金債権の差押えは、命令が銀行に届いた時点の残高がわずかであれば、ほとんど回収できないまま終わってしまいます。
一方、給与は勤務先が毎月支払う性質の債権であるため、勤務先さえ判明していれば回収の空振りが起こりにくいのです。
支払いを担うのが債務者本人ではない点も、見通しの立てやすさにつながります。
任意の支払いにつながることもある
差押命令が勤務先に届くと、債務者は借入れの事実や滞納の状況を職場に知られてしまいます。
この状況を避けたい債務者から、一括での支払いや分割払いの申し入れがなされるケースも少なくありません。
給与差押えを行う前に確認したい注意点
もっとも、給与差押えには制度上の限界もあり、申し立てれば全額が回収できるわけではありません。
思うように回収が進まない事態を避けるため、次の4点は事前に確認しておきましょう。
差し押さえられる金額には上限がある
給与は債務者の生活を支える収入であるため、その全額を差し押さえることはできません。
差し押さえられる範囲は、請求する債権の内容によって次のように分かれます。
- 原則として、税金や社会保険料を控除した手取り額の4分の1まで
- 手取り額が44万円を超える場合は、33万円を超える部分の全額
- 養育費や婚姻費用が請求債権であれば、手取り額の2分の1まで
たとえば、手取りが24万円であれば毎月6万円、手取りが50万円であれば毎月17万円が回収できる金額の目安となります。
残りの部分は差押えが禁止されているため、完済までには一定の期間を見込んでおくとよいでしょう。
勤務先がわからなければ申立てできない
債権差押命令の申立てでは、第三債務者となる勤務先を特定して記載しなければなりません。
裁判所を通じて勤務先の情報を取得する手続きもありますが、利用できるのは養育費や婚姻費用といった扶養義務にかかる債権や、生命や身体の侵害による損害賠償請求権を持つ債権者に限られます。
常の貸金債権では利用できないため、財産開示手続や独自の調査によって勤務先を突き止める必要があります。
退職されると回収が止まる
差押えの効力は、あくまで債務者がその勤務先から受け取る給与に対して生じます。
債務者が退職すれば支払われる給与そのものがなくなるため、その時点で回収は途切れてしまいます。
転職先の給与へ効力が引き継がれることはないため、改めて勤務先を特定して申し立てなければなりません。
差押えをきっかけに退職する債務者もいるため、回収期間の見通しは慎重に立てるべきです。
取立てと範囲変更申立てへの対応
差押命令が債務者へ送達されてから1週間(扶養義務が債権のときは4週間)が経過すると、債権者は勤務先へ直接取立てができます。
裁判所が回収まで代行してくれるわけではなく、勤務先との連絡や入金の確認は債権者自身で進めなければなりません。
取り立てた金額は取立届として裁判所へ報告しなければならず、事務作業も一定期間続きます。
また、債務者側から差押禁止債権の範囲変更が申し立てられ、差押えの範囲が減らされたり取り消されたりする場合もあります。
まとめ
給与差押えは、勤務先さえ特定できれば継続的な回収につながる有効な手段ですが、差押可能な金額の上限や退職による中断といった制約もあります。
ゴッディス法律事務所では、債権回収に関するご相談を承っております。
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