公式

TOP 基礎知識 求償権とは?債務者に返還...

Knowledge基礎知識

返金請求 弁護士

求償権とは?債務者に返還を請求できる金額を解説

債務関係において、第三者が本来の債務者に代わって債務を履行した場合、その履行者が債務者に対して支出額の返還を請求できる法的権利があります。
これを「求償権(きゅうしょうけん)」と呼びます。
求償権は、主に保証人や連帯債務者、物上保証人といった、他人の債務に責任を負う立場にある者が、実際に債務を履行したのちに、自らが負担した金額の全部または一部を債務者に対して請求する際に問題となります。
債権債務関係におけるリスク管理や損失回避の観点からも、実務上極めて重要な制度です。
本稿では、求償権の基本的な法的性質や、発生要件、具体的な金額の範囲、そして行使方法などについて解説していきます。

求償権の法的意義

求償権は、民法第459条および第500条などに基づき認められる権利であり、債務者以外の者が債務を履行した場合に発生します。
この権利は、他人の債務を履行するという特別な法的責任を負った者に対し、正当な費用の補填を認める制度的保障といえます。
たとえば、保証人が債務者の代わりに借金を返済した場合、保証人は債務者に対し、その支払額を請求することが可能です。
このように、求償権は「債務を履行する義務を負ったが、本来の責任者ではない者」が損失を一方的に被ることのないよう、法的に保護する役割を果たしています。

求償権が問題となる代表的な場面

求償権が実務上問題となる代表的な場面としては、以下のようなものが挙げられます。

・保証人が支払をした場合:保証人が債務者に代わって債務を履行した場合です。
・連帯債務者の一部が支払をした場合:連帯債務の全額を一人の債務者が負担した場合、他の債務者に対してその負担部分を請求可能となります。
・物上保証人が担保を失った場合:担保不動産が競売され、弁済に充てられた場合、損失分の請求が可能なケースがあります。

これらの事例では、求償権を行使しなければ、債務を履行した者が不当に損失を被ることとなり、衡平を欠く結果になります。

求償できる金額の範囲

求償権を行使する際に請求可能な金額は、原則として債務履行のために実際に支出した額に限定されますが、これには以下の費用も含まれることがあります。

・元本
・法定利息(支払時点まで)
・債権回収のために要した訴訟費用等の実費
・遅延損害金(契約に基づく)

もっとも、これらをすべて回収できるかは、債務者の資力や契約内容によって異なります。
求償権の行使は、あくまで「返還を請求できる」ことを意味し、実際の回収には別途交渉や法的措置が必要になることもあります。

求償権の行使方法と留意点

求償権を行使するには、まず履行事実を証明する資料(領収書、振込記録、契約書など)を整えることが前提となります。
その上で、債務者に対して返還請求を行い、応じない場合には、内容証明郵便の送付や、民事調停、訴訟提起等の手続が必要となる場合もあります。
また、求償権の行使には消滅時効が存在します。
2020年4月1日以降の求償権は5年、2020年3月31日以前の成立は10年(商法や特別法が適用される場合には5年など異なる場合はあります。)の消滅時効がかかってくるため、速やかな対応が求められます。

求償権に関する注意点と実務的な対応

求償権の行使にあたっては、債務者との関係性や事前の取り決めの有無によって、請求の可否や金額の範囲が争点となることがあります。
とりわけ保証契約においては、債務者が支払い義務を自覚しておらず、求償請求に対して抵抗感を持つケースも少なくありません。
そのため、保証契約を締結する段階で、債務履行後に求償する旨を明確にし、文書化しておくことが望ましいといえます。
また、連帯債務者間における負担割合の定めが存在しない場合は、原則として等分で按分されます。
しかし、特段の事情があるときは、実際の利益状況や資力、債務発生の経緯、過失割合等を考慮して、裁判所が負担割合を判断する場合もあります。
したがって、求償請求に先立ち、法的な裏付けや見通しを専門家とともに確認することが重要です。
さらに、債務者が支払いに応じない場合には、強制執行を視野に入れた債務名義の取得が必要になります。
具体的には、支払督促や訴訟を提起し、勝訴判決を得た上で財産差押えの手続きを進めることとなります。
こうした一連の対応には相応の時間と費用がかかるため、早期の専門家への相談が結果的に負担軽減につながることが多いのです。

まとめ

求償権は、他人の債務を支払った者が、正当な損失補填として債務者に返還を請求できる民法上の重要な制度です。
債務関係が複雑化する現代においては、保証や連帯債務といった形で第三者が関与する機会も少なくなく、求償権の理解は、適切な権利行使とリスク回避の両面において極めて重要です。
個別具体的なケースにおいては、契約内容や支払い状況、債務者の資産状況などを慎重に検討する必要があります。
求償権の適切な行使に不安がある場合は、弁護士などの専門家に相談されることをおすすめします。
ゴッディス法律事務所では、債権回収に関するご相談を承っております。
お困りの方はお気軽にお問い合わせください。

当事務所はこのほかにも返金請求 弁護士の案件を多く取り扱っております。
お困りのことがございましたらお気軽にご相談ください!

9時~21時まで無料相談受付

PAGE TOP
9時~21時まで相談受付03-6273-0875 365日24時間無料受付メールはこちら