Knowledge基礎知識
抵当権とは?実行する際の流れを解説
不動産を購入する際に利用される住宅ローンや、事業資金の借入などにおいて、金融機関が融資を行う際には、その返済を確実にするために担保を求めることが一般的です。
その担保として代表的なものが「抵当権」です。
抵当権は、不動産を対象とする担保権の一種であり、借入金の返済が滞った場合に抵当権を実行することで最終的に不動産を換金し、債権を回収できる可能性があるため、債権者にとって非常に重要な保全手段です。
本稿では、抵当権の基本的な仕組みと、実行に至った場合の流れについて解説していきます。
抵当権とは
抵当権とは、債権者(お金を貸した側)が債務者(お金を借りた側)からの返済が滞った場合に、債務者または第三者の不動産などを担保にして、優先的に弁済を受けることができる権利です。
これは、担保物権の一つであり、物件(主に土地や建物)に設定されます。
抵当権は、担保物件を債務者の手元に残したまま設定できる点が特徴であり、抵当権を設定するには、法務局への登記が必要となります。
また、物上保証人(自分の財産を他人の債務の担保として提供する人)も対象であり、債務者以外の第三者が自己の不動産に抵当権を設定することも可能です。
抵当権の実行と流れについて
抵当権の実行とは、債権者が債務不履行に陥った債務者に代わり、担保物件を差し押さえ・売却することで、貸したお金を回収する手続きです。
主に裁判所を通じた「競売」によって行われます。
以下、競売の場合の抵当権実行の流れについて見ていきましょう。
①債務不履行の発生
返済の延滞が一定期間続くと、債権者は法的手段として抵当権の実行を検討します。
②催告・期限の利益喪失通知
借主に対して返済を求める「催告」および、分割返済の権利を喪失する「期限の利益喪失通知」が送られます。
③競売の申立て
債権者は、担保不動産の所在地を管轄する地方裁判所に「競売開始の申立て」を行います。
④裁判所による開始決定
裁判所が申立てを認めると、競売手続きが正式に始まり、物件は差し押さえとなります。
⑤調査・評価
執行官や不動産鑑定士が現地調査を行い、売却基準価格を算出します。
⑥競売公告
裁判所は官報などで物件の競売情報を公告し、入札希望者を募ります。
⑦入札と開札
入札期間内に希望者が価格を提示し、終了後に開札、最高価格を提示した者が「最高価買受人」となります。
⑧売却許可と代金納付
裁判所が売却を許可し、落札者が代金を納付します。
⑨債権者への配当
競売代金から諸費用を差し引いた残額が、登記順に従って債権者へ配当されます。
実行後の影響
抵当権が実行されると、債務者は担保となっていた不動産を失うことになります。
この段階で、債権者は競売によって得られた売却代金から、貸付金の回収を試みることになります。
しかし、売却代金が必ずしも債務全額をカバーするわけではないため、もし競売の結果、残債が残る場合には、債務者には引き続きその支払い義務が残ることになります。
このような場合、債務者は競売で得た金額以上の返済を求められることになり、特に無担保債務として残った部分については、追加の支払いや回収手続きが行われます。
また、競売手続きが行われたこと自体が信用情報に記録され、債務者の信用に大きな影響を与えることになります。
信用情報に事故情報が記録されると、債務者は以後、ローンやクレジットカードなどの新たな借り入れを行うことが難しくなることが多く、数年間は金融機関からの信用を得ることが非常に困難となります。
これらの影響は、債務者の経済的な立ち直りにとって大きな障壁となる可能性があります。
まとめ
抵当権は、債権者にとって債権回収のための強力な手段である一方、債務者にとっては返済の遅延によって住まいや財産を失うリスクも孕んでいます。
特に、抵当権の実行に至るまでには法的な手続きと時間がかかり、当事者双方にとって大きな負担となることもあります。
そのため、債務の返済が困難になった場合には、早めに債権者と話し合い、任意売却や返済計画の見直しなど柔軟な対応を模索することが重要です。
抵当権の制度とその実行手続きに精通した弁護士に依頼することで、リスクを最小限に抑えた対処が可能となります。
ゴッディス法律事務所では、債権回収に関するご相談を承っております。
お困りの方は、お気軽にお問い合わせください。
当事務所はこのほかにも債権回収 新宿区の案件を多く取り扱っております。
お困りのことがございましたらお気軽にご相談ください!
9時~21時まで無料相談受付