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債権回収を念頭に入れた契約書の作成方法とは?作成時の注意点などを解説
私人間や法人間などで取引を行い、契約を取り交わす場合には、契約書を作成するのが一般的です。
そこで本稿では、債権回収を念頭に入れた契約書の作成方法について、作成時の注意点とあわせて解説していきます。
契約書を作成する意義
そもそも、取引を行う中で契約を締結するためには、契約書を作成せずに口頭の合意だけでも足ります。
しかし、口頭の合意のみで契約内容を決めてしまうと、事後的に契約当事者間で契約内容の認識に齟齬が生じた場合、いずれの当事者の主張する契約内容が正しい契約内容なのかを確定することができず、紛争が泥沼化するおそれがあります。
そのため、契約書という書面等において契約の成立および内容を明らかにしておくことで将来的な紛争を防ぐことができます。
また、仮に契約の一方当事者が契約上の義務を果たさないために、訴訟等の紛争に移行してしまった場合、契約書は、相手方に義務を履行させるための証拠としても機能することになります。
以上のように、契約書の持つ機能は非常に重要であり、取引の中で契約を締結する場合には必ず契約書を作成するようにしましょう。
債権回収を念頭に入れた契約書の作成方法
債権回収を念頭に入れた契約書を作成する場合には、以下のような内容を盛り込むことが一般的です。
①契約内容・目的
②債務の履行期や履行方法などの履行に関する条項
③期限の利益喪失条項
④損害賠償額の予定条項
⑤契約解除に関する条項
⑥担保や保証に関する条項
⑦裁判の管轄に関する条項
以下では、上記のうち①ないし④、⑥という主な契約内容・条項について解説していきます。
①契約内容・目的
契約書を作成する場合、契約当事者がどのような債権債務関係にあるかが一見して分かるように、契約内容やその目的を記載する必要があります。
具体的には、最低限以下の内容は記載しなければなりません。
・契約当事者
・債権の発生原因(たとえば、売買など)
・契約締結日
・債権債務の内容
たとえば、「売主〇〇(以下、「甲」という)と買主××(以下、「乙」という)は、以下のとおり売買契約を締結する。」とし、それ以下の個別条項において当事者や契約締結日等を明示する記載の仕方が考えられます。
②債務の履行期や履行方法などの履行に関する条項
履行に関する条項としては、「誰が、誰に対して、いつ、どこで、何をするのか」ということが明確になる条項を記載する必要があります。
たとえば、売買契約における売主のように、特定の商品を引渡す義務を負う者の履行に関する条項としては、「甲(売主)は乙(買主)に対し、次のとおり引渡場所及び納入日において、本商品を引き渡す。」などとし、それ以下の条項において引渡場所や納入日の詳細について記載する方法などが考えられます。
③期限の利益喪失条項
期限の利益喪失条項とは、契約当事者が債務の履行期限を設定した場合、その債務者は履行期限が到来するまでは債務を履行しなくてもよいという利益(期限の利益)を有しており、債務者に一定の事由が生じた場合にその期限の利益を喪失させ、即刻債務の履行を求めることができるとする条項をいいます。
民法上は、上記の一定の事由として、(1)債務者が破産手続開始の決定を受けたこと、(2)債務者が担保を滅失・損傷・減少させたこと、(3)債務者が担保を供する義務を負う場合にこれを供しないこと、が挙げられています(民法137条参照)。
これらに類する一定の事由を定めておくことで、債務の履行期限が到来することを待つことなく、債務の履行を求めることができます。
④損害賠償額の予定条項
損害賠償額の予定条項とは、債務者が債務の履行を怠り、損害が発生した場合に備えて、損害賠償額を予定する条項をいいます。
具体的には、「債務者に債務不履行が生じた場合、金100万円を債権者に生じた損害とする」などの文言を記載することが考えられます。
こうした損害賠償額の予定条項を記載するメリットは、債権者から債務者に対する損害賠償請求においては、損害の発生とその額については債権者が主張・立証する必要があるところ、契約内容によっては損害額を立証することが困難であることもあり、こうした場合に備えて上記条項を置くことで損害額の証明が不要となるという点にあります。
もっとも、過度に高額あるいは低額の予定条項は、公序良俗に反して無効とされることがあるため、注意が必要です。
⑥担保や保証に関する条項
金銭消費貸借契約などの場合には、借主の不動産に抵当権を設定したり、借主に連帯保証人を立ててもらうなどの合意をした場合、その旨の記載をしておくことにより、比較的容易に債権回収を図ることができるといえます。
まとめ
当事務所では、債権回収を念頭に入れた契約書の作成のご相談についても広く承っております。
こうした契約書の作成方法などにお悩みの方は、ゴッディス法律事務所までお気軽にご相談ください。
当事務所はこのほかにも案件を多く取り扱っております。
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