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債権回収における民事調停の流れとメリット・デメリット
代金の未払いや借金の返済がないといった場合、相手に対して支払うよう求めることを債権回収といいますが、一言で債権回収といっても、その方法は多岐にわたります。
本稿では、債権回収の方法の一つである民事調停について、その流れやメリット・デメリットなどもあわせて解説していきます。
民事調停について
民事調停とは、民事に関する争いについて、調停委員会が進行・仲介し、話し合いを行う手続きです。
ここでいう民事に関する争いは、「個人対個人」、「個人対法人」、「法人対法人」、それぞれで生じるトラブルを思い浮かべるとわかりやすいと思います。
進行役・仲介役をつとめる調停委員会は、裁判所の中にある機関で、調停主任と呼ばれる裁判官1人と民事調停委員2人以上で構成されています。
調停委員は一般市民から選ばれますが、専門知識を持っている人や幅広い社会貢献を行ってきた人が選ばれています。
民事調停の流れ
民事調停を行うには、まず裁判所に調停申立書を提出することになります。
どの裁判所に提出すればよいかについては、以下のような決まりがあります。
・原則として相手方の住所等を管轄する簡易裁判所
・当事者が合意で定める地方裁判所もしくは簡易裁判所
調停申立書が受理されたら、申立て内容に応じた調停委員が指定され、調停の日程(調停期日)を決定します。
調停期日決定後、裁判所から相手方に呼出状とともに調停申立書の写しや申立ての時に提出した資料が送付されます。
呼出状を受け取った相手方は、呼出状に記載されている期限までに答弁書を提出し、呼出状に記載されている日時に裁判所へ出頭します。
調停期日当日は、調停委員会がお互いの言い分を聞き、事実確認のための事情聴取を行います。
調停期日は1ヶ月に1回のペースで開かれ、お互いが合意するまで話し合いをしていきます。
ここで合意ができれば調停が成立し、合意内容が記載された調停調書という書類ができあがります。
この調停調書は、裁判の確定判決と同じ効力を持ち、もし相手方が調停調書の内容を無視しているような場合には、調停調書を根拠に強制執行の申立てができるようになります。
民事調停のメリット
民事調停には、次のようなメリットがあります。
手続きが容易で費用が安い
民事調停を行う際に提出する調停申立書は、裁判所の窓口やホームページから入手可能で、記入方法に沿って記入することで完成させることができます。
手続き開始後は、裁判所に出頭して調停委員会と話をするのが基本となるので、自分一人でも対応できます。
手続きの費用は、通常の裁判(訴訟)と比べて安く500円~となっています。
なお、この費用は、収入印紙を購入し、調停申立書に貼付して納めます。
短期間で終わる可能性がある
民事調停は裁判所を介した手続きですが、お互いの話し合いがベースとなるので、双方が合意すれば1回目の調停期日で終了する場合があります。
平均的には2~3回の調停期日を経て終了することが多いですが、通常の裁判(訴訟)と比べると早く、期間でいうと2~3ヶ月程度であることが多いです。
時効の完成を防げる
債権回収には時効があり、手を打たなければ時効が到来となり債権回収自体できなくなってしまう恐れがあります。
民事調停を行うと、時効の完成を阻止することができ(相手方が調停へ出頭しない場合や調停不成立にて終了した場合には6カ月以内に訴訟提起しなければ、時効の完成を防ぐことはできません。
民法147条1項)、さらに調停が成立すると、時効が更新されるので、債権回収ができる期間を伸ばすことが可能です。
強制執行ができる
前述の通り、民事調停が成立すると確定判決と同じ効力を持つ調停調書を獲得でき、これを根拠に強制執行の手続きをとることが可能になります。
民事調停のデメリット
一方で、民事調停には以下のデメリットがあります。
相手方の居場所がわからないと調停ができない
相手方の住所地が分からない場合で就業場所は判明している場合、就業場所送達の方法をとることが考えられますが、住所地に加え就業場所も不明である場合には調停を進めることができません。
そういった場合には、弁護士等の専門家に相談しましょう。
相手方が調停に来ないと調停ができない
調停期日で調停委員が話を聞くという観点からのデメリットですが、相手方から話を聞けない限り、手続きを進めることができません。
必ずしも調停成立するとは限らない
民事調停は裁判所を介して行いますが、前述のとおり、お互いの話し合いがベースとなります。
調停委員会の仲介があっても、お互いが合意しなければ、調停は成立しません。
通常の裁判(訴訟)では判決によって白黒はっきりするので、手間という観点からいうと、結果的に最初から訴訟にしたほうがよかったという場合もありえます。
まとめ
本稿では、民事調停の流れとメリット・デメリットを解説してきました。
民事調停は当事者同士で話し合う示談と通常の裁判(訴訟)の間をとったものというイメージを持っていただければと思います。
しかし、その分、利用するべきかどうか悩んでしまうかもしれません。
その際は、ぜひ弁護士に相談をして、債権回収の最適解を考えていきましょう。
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