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債権回収における分割払いを認めるときの注意点とは

債権回収においては、一括回収が望ましいものの、債務者の支払い能力や経済状況により、現実的には分割払いに応じたほうが回収率が高まるケースもあります。
実際に、分割払いによって債務者との関係を維持しながら回収することは、穏便で実効性のある対応策と言えるでしょう。
しかし、安易に認めると新たなリスクが生じる可能性があります。
本稿では、債権回収における分割払いを認める際の注意点等について解説していきます。

債務者の支払能力・意思を見極める

分割払いでは、そもそも支払えるのかどうかしっかり検証する必要があります。
転職や、家族構成の変化、収入の先行不安など、契約後に状況が変われば支払いが止まる可能性もあります。
返済能力が不明確である場合には、無理に応じないほうが得策である場合も多いです。
この支払能力・意思の確認方法としては、決算書の提出や資金繰り計画の提示を要求する等が挙げられます。

合意条件を明確にし、必ず書面化する

口頭による約束では「言った・言わない」のトラブルに発展しやすく、裁判では立証が難航することが多いです。
そのため、支払条件(総額・回数・返済期日・振込先等)は必ず書面上で定め、それに加えて担保や連帯保証人を付けることで、未払いそのものの防止につながりますし、裁判に持ち込む際の有力な証拠となり得ます。

期限の利益喪失条項を取り入れる

分割払いの落とし穴は、支払われるまで他の期間の請求ができない点にあります。
これを避けるために、滞納の回数や金額が一定額に達した場合に期限の利益を喪失し、残額を一括請求できる旨を定めた期限の利益喪失条項を設けます。
この条項を取り入れることで、債務者が期限の利益を喪失した場合、債権者は一括で支払うよう債務者に請求することが可能となります。
もし、期限の利益の喪失条項を入れずに合意した際は、支払期限が到来している債権の返済を求め、支払われなかった場合には契約自体を解除し、不当利得返還請求という形で一括返済を求めることになるため、催告書を相手方へ送達させる必要が生じます。

遅延損害金・違約金の設定も検討

支払い遅延に対する抑止力として、遅延損害金や違約金条項を設けるのが有効です。
ただし、遅延損害金には利息制限法や消費者契約法上の制限があるため、これらの法律の利率を超過した部分は法律上無効となり、請求できないリスクがありますので、利率の設定には注意が必要となります。
また、違約金についても、余りにも高額な定めをした場合には、公序良俗に反し、無効と判断される可能性が生じますので、契約内容により相当といえる範囲で金額を定める必要があります。

合意管轄裁判所指定・時効管理の重要性

分割合意書には、訴訟の合意管轄裁判所指定を含めておくことで、万一の法的紛争時に手続きがスムーズになります。
また、支払いが途絶えることによって時効進行による債権消滅のリスクもあるため、定期的な督促や裁判所への支払督促の申立て、債務承認の取得等で時効の進行を抑える時効管理が重要となります。

強制執行を見据えた担保・保証の仕組みづくり

期限の利益喪失や遅延利息によって回収できない場合に備えて、担保や連帯保証人を確保しておくことも重要です。
その際、不動産や第三債務者からの差し押さえが可能な担保を設定するほか、連帯保証人を付けることで主債務者が支払不能でも保証人から回収を試みることが可能となります。
ただし、2020年4月の民法改正により、個人が保証人となる根保証契約では契約書などの書面等に「極度額(保証の上限額)」を定めておくことが義務化されており、これが記載されていない契約は無効となることには注意が必要となります。
また、事業用融資の保証人には公証人による意思確認が必要になった点、さらに、保証人に対しては主債務者の債務状況や履行状況に関する情報提供義務も課されているため、契約書の内容と運用方法を最新の制度に合わせて慎重に確認することが重要です。

実効性あるフォローアップ体制の構築

合意後も支払い計画の履行を確認し続けることが重要です。
支払が遅延している場合の督促手段としては、電話催促やSMS等の証拠記録付きメディアの活用や、場合によっては内容証明郵便の活用を検討しましょう。
また、不払い時には速やかに法的手段を講じて優位性を保つことも重要です。

弁護士に依頼するメリット

分割払い合意書の作成・交渉・督促は、弁護士に任せることでリスク回避と効率化が可能です。
弁護士による内容証明郵便や交渉で、相手に支払を促す効果や、スムーズな合意を図ることが期待できます。
また、公正証書化や法的手続きまで一括して依頼できる点も強みといえます。

まとめ

分割払いを確実な回収手段とするには、準備不十分では契約が形骸化するリスクがあります。
まず、支払能力と意思の有無を精査し、次に回数・金額・返済期日・振込先を明記した書面上の合意を締結(可能であれば公正証書化)することが重要です。
また、支払いの遅延に備えて期限の利益喪失条項を盛り込み、遅延損害金や違約金も合理的な水準で定めましょう。
なお、遅延損害金は利息制限法や消費者契約法上の制限を受ける他、違約金があまりにも大きな場合は公序良俗で無効と判断される可能性がありますので注意が必要です。

また、訴訟管轄や承認取得・時効中断の措置など実効性確保の条項も欠かせません。
回収可能性向上には、不動産やその他資産を担保に供し、さらに保証人を設定することも有効です。
ただし、2020年民法改正により、個人の根保証契約には契約書などの書面等に「極度額(責任限度額)」の明示が義務付けられており、記載がなければ契約自体が無効となる点には注意しましょう。
加えて、契約後も内容証明・訴訟・支払督促などの督促手段を適切に運用し、期限切れ・時効到来を回避することが肝要です。
これらの一連の対策を怠ると、せっかくの合意も実効性を失ってしまいます。
ゴッディス法律事務所では、債権回収に関するご相談を承っておりますので、お困りの方はお気軽にご相談ください。

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