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工事代金の未払いを回避する方法について|契約書作成の重要性
建設業やリフォーム業を営む方にとって、工事代金の未払いは事業の継続に直結する深刻な問題です。
工事が完了しているにもかかわらず支払いが滞ると、「どこまで請求できるのか」「どのように対応すべきか」と不安を抱えることになります。
現場では、契約書を詳細に作成せず、見積書や口頭での打ち合わせのみを基礎として工事が始まるケースが依然として見られます。
このような状況では、後に言った・言わないの争いに発展しやすく、代金未払いのリスクが高まります。
本稿では、工事代金の未払いを防ぐための契約書の重要性と、紛争予防のためのポイントについて解説していきます。
工事代金未払いが発生しやすい理由とは
工事請負の現場では、見積書や発注書のみを基礎として契約内容が十分に整理されないまま工事が進むことが少なくありません。
工期や支払条件、追加工事の扱いが曖昧な場合、完成後に双方の認識が食い違い、トラブルが生じやすくなります。
また、発注者側の資金繰りの悪化や、追加工事に対する合意の不足、工事内容の評価の相違など、未払いの原因は多岐にわたります。
これらの問題は、事前に契約書を整備しておくことで大幅に軽減できます。
契約書を作成することの重要性
工事請負契約において、契約書は紛争を未然に防止するための基本的かつ重要な法的手段です。
契約書が整備されていれば、工事範囲・代金・支払時期・追加工事などの要点が明確化され、双方の認識のズレを最小限に抑えられます。
契約書がなくても契約自体は成立しますが、後に裁判で工事代金を請求する際には、工事内容や追加工事の合意を立証する証拠が十分でない場合、裁判所が相当と認める金額のみを認容する結果となり、請求額の一部しか認められない可能性があります。
こうした事態を避けるためにも、契約書の作成は不可欠です。
契約書に盛り込むべき基本事項
工事請負契約をスムーズに進めるためには、契約書にどのような内容を盛り込むべきかを理解しておく必要があります。
以下では、実務上特に重要となるポイントを取り上げます。
工事内容・範囲の明確化
施工箇所、使用する材料、仕上げ方法などを具体的に示し、図面や仕様書を契約書へ添付することが重要です。
工事内容を詳細に特定しておくことで、「どの作業が契約の対象か」「どの程度の品質で完成とみなすか」が明確となり、工事結果に関する認識の相違を防ぐことができます。
工事代金・支払時期の確定
工事代金の額や支払時期、支払方法を明確に規定することは、未払い予防に直結します。
一括か分割か、着手金や中間金の有無、振込期限などを具体的に定めておくことで、「支払日は決めていない」「検収が終わっていない」といった主張によるトラブルの防止につながります。
追加工事に関する規定の整備
追加工事はトラブルが最も起こりやすい領域です。
追加料金が発生する場合の条件、見積書の提示方法、承諾方法(書面・メール・メッセージアプリなど)をあらかじめ定めておくことで、「そんな追加は頼んでいない」「金額に合意していない」といった争いを防ぐことができます。
未払いリスクを軽減するための工夫
契約書以外にも、日常的な対策が未払い予防に有効です。
工事の進捗状況を写真や報告書で記録し、発注者へ定期的に共有することで、完成度に関する誤解を防げます。
追加工事は必ず書面またはメールで合意内容を残すようにし、請求時の証拠を確保することも重要です。
支払いが遅れた場合は早めに連絡を取り、状況を把握することで深刻な未払いを回避できます。
未払いが発生した場合の対応
事前に対策していても、未払いが完全に防げるわけではありません。
未払いが発生した場合は、まず書面やメールで支払いを促し、期限を明確に設定します。
それでも支払いがない場合には、内容証明郵便で正式な請求を行うことが有効です。
内容証明郵便は、送付した文面と発送日を客観的に証明できるため、後の法的手続では「いつ・どのような請求を行ったか」を示す重要な証拠となります。
なお、内容証明自体に直接的な強制力はありませんが、正式な請求の意思を明確に示す手段として効果的です。
その後、状況に応じて、支払督促、調停、訴訟などの手段を選択しますが、相手方の資力や証拠の状況を踏まえる必要があります。
早い段階で弁護士に相談することで、最適な解決策が見つかりやすくなります。
まとめ
工事代金の未払いは、事業者にとって大きな負担となりますが、事前に契約書を整備し、工事内容や追加作業を明確化しておくことで、未払いリスクを大幅に減らすことができます。
日々の工事記録や書面でのやり取りも、紛争予防に大きな効果を発揮します。
それでも未払いが生じた場合には、早期の対応と専門家への相談が円滑な解決につながります。
確実な債権回収と紛争予防のため、ぜひ契約書作成段階から弁護士の助言を活用してください。
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