Knowledge基礎知識
取引先が売掛金を支払ってくれないときの対応とは?
取引先との信頼関係を大切にしてきたにもかかわらず、約束の期日を過ぎても売掛金の入金が確認できないことがあります。
そのような状況に直面したとき、多くの経営者や個人事業主の方が、「どのように対応すべきか」と悩まれるのではないでしょうか。
取引を今後も継続したいという思いと、債権を確実に回収しなければならないという責任感の間で、対応に迷う方も少なくありません。
本稿では、売掛金の未払いが発生した際の適切な対応手順と、注意すべきポイントなどについてわかりやすく解説していきます。
売掛金・未収金とは?その基本的な仕組み
まず、売掛金とは、商品やサービスを提供したにもかかわらず、まだ支払いを受けていない代金を指します。
企業間取引では「掛け取引」と呼ばれる形が一般的で、取引先に一定の信用を前提として、後日まとめて支払いを受ける仕組みです。
一方、未収金は、個人顧客など通常の掛け取引以外の場面で発生する未払い金を指すことが多く、会計上の分類が異なる場合もあります。
いずれも、債権者(代金を受け取る側)が正当に請求できる権利であり、支払いが遅延した場合は法的手段を取ることも可能です。
支払遅延が発生した際の初期対応
売掛金の支払いが遅れていると気づいたときには、まずは冷静に状況を確認することが重要です。
支払遅延といっても、その原因は取引先の一時的な資金繰りの問題や事務的なミスなど、さまざまです。
いきなり強い対応を取る前に、段階を踏んで慎重に行動することが、円滑な回収につながります。
まずは「催促」の段階から丁寧に
支払期限を過ぎた場合は、まず取引先の担当者に連絡を取り、支払いが遅れている理由を確認します。
この時点では、相手の事情を聞きながら今後の支払い予定を明確にし、できる限り話し合いでの解決を目指しましょう。
記録を残しておくことで、後にトラブルが生じた際にも証拠として活用できます。
このとき重要なのは、感情的にならず「事実確認」を目的とした冷静なやり取りを行うことです。
連絡の記録を残しておくことも、後の証拠として有用になります。
内容証明郵便で正式な請求を行う
口頭やメールでの督促をしても支払いがない場合、次のステップとして「内容証明郵便」を送付します。
これは、いつ・誰が・どのような内容で請求を行ったかを郵便局が証明してくれるもので、裁判になった際にも重要な証拠になります。
文面には、請求金額や支払期限、期日までに支払いがなければ法的措置を検討する旨を明記し、相手に誠実な対応を促します。
法的手段に進む場合の選択肢
丁寧な督促や内容証明郵便による正式な請求を行っても、なお支払いがない場合には、次の段階として法的手段の検討が必要になります。
法的手続きといっても、すぐに裁判に持ち込むわけではなく、請求金額や相手方の対応状況に応じて、複数の方法の中から最適なものを選ぶことが可能です。
ここでは、代表的な手続きをわかりやすく紹介します。
少額訴訟・支払督促制度の活用
60万円以下の金銭請求であれば、少額訴訟制度を利用することができます。
1回の審理で判決が出る簡易な手続きで、コストや時間を抑えて解決できる点がメリットといえます。
また、支払督促制度も有効な選択肢です。
裁判所に書面で申立てをし、相手方が異議を出さなければ、判決と同等の効力を持つ「仮執行宣言付き支払督促」を得ることができます。
通常訴訟・強制執行の手続き
金額が大きい、または相手が支払いを強く拒んでいる場合は、通常訴訟の提起を検討します。
判決が確定した後、相手に資産がある場合には、強制執行により判決に基づいて、相手方の銀行口座や不動産などの財産に対して差押えを行い、債権を回収することも可能です。
ただし、相手に資産がない場合や倒産の恐れがあるなどの場合は、訴訟費用や時間に見合わないケースもあります。
弁護士に相談し、経済的な見通しを立ててから行動することが大切です。
弁護士に相談するメリット
弁護士に依頼することで、まずは相手方に対して「法的措置も辞さない」という強い意思を伝えることができます。
内容証明郵便の作成から、交渉、訴訟提起、そして回収まで、一貫してサポートを受けられる点も大きなメリットといえます。
また、弁護士が介入することで、法的根拠に基づいた請求が可能になり、相手方の任意の支払いを促す効果も期待できます。
取引先との関係をできるだけ円満に保ちながら、確実な回収を図るためにも、早めの相談がおすすめです。
まとめ
売掛金の未払いは、どの企業にも起こり得るリスクです。
焦って感情的に対応してしまうと、取引関係の悪化や法的トラブルに発展する可能性もあります。
まずは冷静に事実関係を整理し、段階的に対応を進めましょう。
初期対応で解決できない場合には、法的手段を視野に入れ、早めに弁護士へ相談することが最善の道です。
権回収の問題は、スピードと正確な判断が鍵になります。
専門家の助力を得ながら、早期かつ適正な回収を進めることで、安心して本業に専念できる環境を取り戻すことができます。
ゴッディス法律事務所では、売掛金・未収金に係るご相談を承っております。
お困りの方はお気軽にお問い合わせください。
当事務所はこのほかにも債権回収 弁護士 依頼の案件を多く取り扱っております。
お困りのことがございましたらお気軽にご相談ください!
9時~21時まで無料相談受付