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強制執行 弁護士

強制執行とは?種類や方法などを解説

債務者から支払ってもらうべきものを支払ってもらうのが債権回収のゴールです。
そのために当事者同士で話し合い、場合によっては裁判所を通して、債権回収の算段をつけていきます。
その際、債務者が算段通りに支払いをしないという事態に陥ることも少なくありませんが、債権者としてもそのまま泣き寝入りするわけにはいきません。
そこで登場するのが強制執行という手続きです。
本稿では、強制執行について、その種類や方法などもあわせて解説していきます。

強制執行とは

強制執行とは、裁判所の判決や公正証書などに基づいて、債務者が自発的に義務を履行しない場合に、法律に従って強制的に財産を差し押さえ、債権を回収する手続きのことを指し、主に金銭の支払義務を履行させるために行われます。
日本では、個人や企業が法律上の権利を主張する際に、裁判所や行政機関などの公的機関を通さず、自分の力で強制的に解決しようとする行為が禁止されています(自力救済の禁止)。

たとえば、借金を返さない相手の財産を勝手に持ち出したり、不法占拠された土地を所有者が直接追い出したりすることは、法律違反となる可能性があります。
また、自力救済を禁止する根拠の一つである民法414条1項は、債権回収において強制執行を可能にする条文でもあります。

強制執行の種類・方法

強制執行の手続きは、大きく分けて3種類あります。

  • 不動産執行
  • 動産執行
  • 債権執行

それぞれ、どのような方法なのかを見ていきましょう。

不動産執行

不動産執行は、債務者が所有する土地や建物などの不動産から債権回収をする方法です。
不動産執行には、土地や建物を強制的に売却し、その売却代金から回収する強制競売と債務者の土地や建物から発生する賃料から回収する強制管理があります。

動産執行

動産執行は、債務者が所有する動産を売却し、その売却代金から債権回収をする方法で、以下のようなものが対象となります。

  • 貴金属
  • 株券
  • 小切手
  • 骨董品
  • 美術品
  • 家具・家電(日常生活に不可欠なものは対象外)
  • 什器

現金も動産執行の対象となりますが、債務者の手元に現金を66万円残す必要があり、債務者が66万円を超える現金を持っていないと動産執行はできません。
また、自動車登録ができない軽自動車や二輪の小型自動車も動産執行の対象となります。

債権執行

債権執行は、債務者が第三者に対して債権を持っている場合、その債権から回収する方法です。
債権執行の対象となるものとして、以下のものが挙げられます。

  • 会社員である債務者が会社から支給される給与(給与債権)
  • 債務者が銀行や信用金庫に預けているお金・貯金(預金債権)
  • 債務者が企業、個人事業主の場合の売掛金や貸与金

給与債権については、債務者の生活を守るため、原則として給与の4分の1しか対象にならない点に注意が必要です。

強制執行をするために行うこと

強制執行をするためには、以下の対応が必要となります。

  1. 債務名義を取得する
  2. 執行文付与の申立てをする
  3. 債務名義の送達証明書を発行する
  4. 裁判所に強制執行の申立てをする

以下でそれぞれについて見ていきましょう。

債務名義を取得する

強制執行をするためには、債務名義が必要となります。
債務名義とは、私法上の請求権の存在と範囲が示されている公的文書で、法律によりその範囲内の権利について強制執行が認められているものをいいます。
具体的にいうと、債権者Aは債務者Bに対して、売買代金を請求できることが公的にお墨付きを得られており、これについて強制執行しても良いと認められている状態ということです。
債務名義と呼ぶことができる主な公的文書は以下の通りです。

  • 確定判決
  • 仮執行宣言付判決
  • 仮執行宣言付支払督促
  • 公正証書(執行証書)
  • 確定判決と同一の効力を有するもの(調停調書・和解調書)

執行文の付与をする

債務名義は、強制執行が認められているものですが、強制執行の実現をより強固なものとするために、執行文の付与が必要となります。
債務名義を発行した裁判所や公証役場に申立てることで、執行文を付与することができます。

債務名義の送達証明書を発行する

債務名義は債務者に謄本が送達されます。
強制執行をするにあたっては、債務者が債務名義を受け取っている(送達されている)ことの証明(送達証明書の発行)が必要となります。
送達証明書は、債務名義を発行した裁判所に申請をします。

裁判所に強制執行の申立てをする

強制執行申立ての際には、執行対象に応じた申立書と必要書類を管轄の裁判所に提出します。

強制執行の申立て後の流れ

強制執行の申立て後の流れについて、前述の3種類、それぞれ解説します。

不動産執行

強制競売の場合は強制競売開始決定、強制管理の場合は強制管理開始決定が出され、対象の不動産について差し押さえをし、調査します。
調査後、強制競売では最低売却価格と売却期日を決め、売却後、債権者に売却金額が配当されます。
強制管理では、裁判所が選任した管理人が債務者に取り立てをし、取り立てた分を債権者の債権者に割り当てられます。
なお、不動産に抵当権が設定されている場合は、抵当権者が優先的に弁済を受けるため、抵当権者への支払いを行った上で残金を分配してもらえるような場合でなければ、手続が取り消されてしまうので注意が必要です。

動産執行

動産執行は、地方裁判所に所属する執行官が執行業者とともに債務者の自宅等へ赴き、差し押さえをします。
差し押さえた動産は換金され、債権者に配当されます。
現金があった場合はその場で受け取ることが可能です。

債権執行

債権執行の申立てが受理された後、債権差押命令が出されます。
債権差押命令が出された後、債務者が第三者に対して持っている債権を行使することができなくなります。
差し押さえた債権は、債権執行を申し立てた債権者が取り立てることとなり、回収を進めていきます。

まとめ

強制執行を成功させるには、しかるべき手続きで債権回収をすると決意した段階から適切な対応が必要となり、ご自身ですべて対応するのは困難である場合が多いです。
弁護士に依頼することで、強制執行を見据えた債権回収を初動の段階からサポートを受けることができます。
債権回収でお悩みの場合には、ゴッディス法律事務所にお気軽にお問い合わせください。

当事務所はこのほかにも強制執行 弁護士の案件を多く取り扱っております。
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