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債権回収は債権回収会社と弁護士どちらに依頼すべきか
債権回収会社と弁護士は、いずれも債権回収業務を代行することができますが、それぞれ依頼可能な債権や依頼者の範囲や対応できる法的な問題等の点において異なってきます。
では、債権回収を依頼する際には債権回収会社と弁護士どちらにすべきなのでしょうか。
本稿では、債権回収会社について解説し、弁護士との違いをお伝えした上で、どちらに依頼すべきかについて解説していきます。
債権回収会社について
債権回収会社とは、法務大臣の許可を得て、債権回収を業務としてできる民間の会社のことです。
「サービサー」という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。
このサービサーというのが債権回収会社を指しています。
法務大臣の許可を得た債権回収会社とはどのような会社か
債権回収会社として法務大臣の許可を得るためには、条件があります。
その条件は「債権管理回収業に関する特別措置法」によって定められています。
主な条件は以下の通りで、これ以外にもさまざまな条件を満たす必要があります。
- 資本金が5億円以上の株式会社
- 常務に従事する取締役に弁護士が一人以上いる
- 暴力団との関わりがない
なお、債権回収会社として法務大臣の許可を得ている会社は法務省のホームページ内に公表されています。
https://www.moj.go.jp/housei/servicer/kanbou_housei_chousa15.html
なぜ債権回収会社が登場したのか
債権回収会社の登場のきっかけは、1990年代前半のバブル崩壊といわれています。
この頃、不良債権が大量に発生し、日本経済の停滞期が訪れました。
この事態を終息させるべく、弁護士法の特例として、「債権管理回収業に関する特別措置法」を制定しました。
この法律は平成11年2月1日に施行され、これにより、これまで弁護士にしか認められなかった債権回収業務を民間の会社でもできるようになりました。
債権回収会社と弁護士との違いについて
前述の通り、債権回収会社は弁護士法の特例として登場したわけですが、弁護士が行う債権回収業務とはどのような違いがあるのでしょうか。
債権回収会社が行える債権回収業務には縛りがある
債権回収会社が行える債権回収業務は、特定金銭債権に限られています。
特定金銭債権とは、当事者間で目的物を特定した上で、金銭の給付を行うもののことをいい、以下のものがあてはまります。
- 金融機関や保険会社などが持っている貸付金
- 通信料
- リース
- クレジット
- 家賃
- マンション管理費
債権回収会社は、これらの特定金銭債権を債権者から買い取ったり譲り受けたりしたうえで、債務者から回収し、その差額と手数料で収益を得て運営しています。
そのため、債権回収会社は個人同士の債権回収業務を受け付けていません。
弁護士はいかなる債権回収も行える
弁護士が行う債権回収業務は、債権者本人の代理人として行います。
そのため、個人、法人問わず、いかなる債権であっても対応することが可能です。
債権回収会社が弁護士法の特例として存在していることを考えると、弁護士のほうが制限なく債権回収業務が可能であることは自明の理といえます。
もし「債権管理回収業に関する特別措置法」に違反して債権回収をしてしまったらどうなるか
債権回収会社はこれまでお話しした通り、弁護士法の特例として作られた「債権管理回収業に関する特別措置法」のもと、運営しなければなりません。
この法律に違反した場合、たとえば、法務大臣の許可を得ていない会社に依頼をしてしまったら、どうなってしまうのでしょうか。
結論からいいますと、弁護士法違反でこの会社は罰則を受けることになります。
この会社が非常に悪質で、あたかも法務大臣の許可を得た正規の債権回収会社を装い、依頼をしてしまった場合、依頼した側も罰則を受けてしまう可能性があるので注意が必要です。
債権回収会社と弁護士のどちらに依頼するかを考える基準
債権回収会社と弁護士とで債権回収業務にどのような違いがあるかを解説しましたが、結局どちらに依頼をすればよいのでしょうか。
法人の場合は、債権の回収ができないと不良債権として計上することになります。
債権回収会社に債権を買い取ってもらうことでこの不良債権は処分されたことになるので、これを避けることが可能です。
この点が債権回収会社に債権回収を依頼するメリットです。
弁護士に依頼した場合は、債権回収が完了するまで不良債権として残ってしまうため、この点をどう捉えるかで、どちらに依頼するのかを決めていくことになります。
個人同士の場合は、債権回収会社の性質上、弁護士に依頼する方向になるケースが多くなるといえます。
まとめ
本稿では、債権回収会社の概要と債権回収業務においての弁護士との違いについて解説しました。
債権回収会社は、バブル崩壊により停滞してしまった日本経済を復活させる目的で作られ、不良債権の解消に大きな貢献をしています。
しかし、債権回収可能な範囲が限定されていたり、中には悪質な業者が存在したりと、懸念点があります。
弁護士に依頼することで、このような懸念点を解消した上で債権回収を行うことができます。
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